終活で考える老人ホームの選び方|認知症の義母の施設探しから学んだこと【体験談】

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50代から始めた終活で、郊外の一戸建てから駅近の中古マンションへ住み替えた話は、以前の記事に書きました。

そのきっかけのうちのひとつの、義母の施設探しで見た人生最後の6畳の部屋の現実は「いずれ自分たちにもあてはまる話だな」と頭の片隅に置いていましたが、まだ先のことだと思っていました。

ところが今年の春、先送りしていた「老人ホームの下調べ」が突如本番となりました。

義母が骨折で手術入院し、このまま自宅には戻せないと医者から告げられたのです。認知症の症状は3年前から出ていましたが、施設への強い抵抗があってずっと先送りにしてきました。でも今回ばかりは、もう選択の余地がありません。

施設を探したことがある方は経験あると思いますが、何から手をつければいいか、最初は本当にわかりません。そもそも施設ってどんな種類があるのか、費用はどのくらいか、何を基準に選べばいいのか——何もかもが手探りでした。

今回は、私たちが実際に経験した施設選びのことを書きたいと思います。

目次
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まず知っておきたい、施設の種類

施設を探し始めて最初に戸惑ったのが、種類の多さでした。主なものだけ簡単に整理しておきます。

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住) バリアフリーの賃貸住宅に、安否確認・生活相談などのサービスが付いたもの。自立度が高い人から要介護の人まで幅広く対応。家賃+利用した分の介護サービス費。

介護付き有料老人ホーム 24時間介護スタッフが常駐し、食事・入浴・排泄などの介護サービスを提供する施設。介護保険サービスを毎月定額で利用できるので予算が立てやすい。

グループホーム(認知症対応型共同生活介護) 認知症の人が少人数(9人程度)で共同生活する施設。原則として要支援2以上・認知症の診断が必要。アットホームな環境で手厚いケアが受けられる反面、部屋の広さや設備は最低限のことが多い。

介護施設には他にも、特別養護老人ホーム(特養)介護老人保健施設(老健)ケアハウスなどがあります。ただ今回は対象から外れたため、この記事では扱いません。

特養は費用が比較的安く人気が高いぶん、入居まで数ヶ月〜数年待ちになることが多い。

老健はリハビリを目的とした施設で、長期入所には向かない。

ケアハウスは自立度が高い方向けの施設。

私たちの場合、「退院タイミングまでに今すぐ入れる場所を探す」という条件があったため、最初からこの3種類(サ高住・介護付き有料・グループホーム)に絞って探しました。

結果からいうと、義母はグループホームでお世話していただくことになりました。その選択に至るまでの話を書いていこうと思います。

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3年前にも動いていたが、失敗した

実は、今回が初めての施設探しではありません。3年前にも一度、義母が暮らしていた埼玉県で探したことがあります。

そのときは、施設紹介サイトにコンタクトを取り、そこから勧められるままなんとなく近隣の施設を夫婦で7件ほど見学して回りました。でも「どうやって決めればいいか」がまったくわかりませんでした。

今住んでいる家から近い方がいい?イベントが充実している施設がいい?料金が安いほうがいい?建物が新しいほうがいい?当時の私たちには判断基準がありませんでした。7件ほど見学しましたが、精神的にも体力的にも疲れはて、後半に見学した施設のことはあまり覚えていません。

介護施設のパンフレットが山積みのテーブルで疲れ果てた夫婦のイラスト

結局その時は、義母の猛烈な拒否反応で施設入所の話は流れました。

入所前に本人との面談が必要と言われて、義母本人が絶対嫌だと拒否しているのに、無理強いはできないと夫があきらめました。ある施設長さんが「一度連れてきてもらえればなんとかなりますよ」と熱心に勧めてくれましたが、「騙すようなことはできない」と夫は踏み切れませんでした。

今回が違うのは、病院の医師から「このまま独り暮らしは難しい。また転倒したら、再手術になりますよ。」と明確に言われたからです。そこで夫も「施設に入れるしかない」と腹をくくったようでした。

老人ホーム紹介業者に、頼んで良かった

今回の施設探しは最初から、老人ホーム紹介業を営む知人に依頼しました。

老人ホーム紹介業というのは、入居者と施設のマッチングを専門に行う仕事です。たいてい利用者側の費用は無料のところが多く、その代わりに施設側が紹介業者に成功報酬としての紹介料を支払う仕組みになっているようです(相場は20〜30万円ほど)。ただ、業者によって質にかなり差があるようなので、信頼できる人を見つけることが肝心です。

私の知人は夫とは初対面でしたが、介護職の経験もある専門家として、各施設への問い合わせから見学の予約、同行まですべて引き受けてくれました。

見学時には、こちらの事情を的確に施設側に伝えてくれて、また施設のスタッフの数、経験値、夜勤の体制などを積極的に質問してくれました。3年前の「夫婦だけでよくわからないまま見学して回る」との違いが大きく、とても心強く感じました。

老人ホーム紹介業の知人に施設探しを依頼する女性のイラスト
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プロが教えてくれた、見るべきポイント

施設選びで一番難しいのは、「何を基準に判断するか」だと思います。

その紹介業の知人から教えてもらった見学ポイントはこうでした。

施設長より、スタッフの様子を見ること 見学時に案内してくれる施設長は「営業の顔」なので耳障りのいい話をする。大事なのは実際に介護をしているスタッフが、入居者にどう接しているかを見ること。声かけの様子、動き方、気配り、表情——見学中にさりげなく観察する。

夜勤の人数と勤務継続年数を確認する 夜間のスタッフが1フロアに何人いるかが日々の介護の安心感に直結する。また、長く働いているスタッフが多い施設は、職場環境として安定していると判断できる。

今だけでなく、今後の症状の進行を見据えて選ぶ 今は自立度が高くても、認知症は進行する。現状だけでなく、数年後の状態も想定した選択が大切。最後の「看取り」まで面倒をみてもらえるのか確認する。

入所時の費用を確認しておく サ高住などは入所の際に入所一時金が必要になるところもある。

💡提示された月額料金以外にかかる費用がいくつかあって、負担額として大きいのがおむつ代だそうです。義母は入院中におむつが外せなくなったため、今後これが毎月の出費に加わります。

施設探しの大変さ、電話してみないとわからない

今回の施設探しには、大きな制約がありました。病院の退院タイミングが決まっていたため、すぐに入所できる施設でなければなりません。「空きがある」ことが最低条件でした。

これが思った以上に難関でした。「みんなの介護」のようなサイトで「空きあり」と表示されていても、実際に電話すると満室ということがあります。逆に空きがなくても見学はOKという施設もあります。結局は一軒一軒電話して確認するしかありません。

知人に一任して、自宅から面会に行きやすい順——徒歩か自転車で行ける施設から順に電話でアポイントを取り、実際に見学OKとなったのは10カ所のうち5カ所でした。

老人ホーム紹介業者が施設に次々と電話でアポイントを取っているイラスト

うちの家からいちばん近い「サービス付き高齢者向け住宅」

最初に見学したのは、私たちの家から一番近いサ高住(6階建て37室)でした。全居室トイレ付。認知症の方から、103歳の車いすの方、毎日自由に外出している方まで、いろんな高齢者が居住する施設です。

各部屋は不動産屋と賃貸契約を、生活のサポートは介護サービス会社と別途契約を結ぶシステム。家賃と共益費以外に各々利用した介護サービスの費用を支払います。

その時点では空室が1部屋のみ、そこを同時に4人が取り合っている状態。必要書類をすべて揃えて他の人より先に提出できたら入所が決まるという競争です。

慌てて埼玉からさまざまな書類を取り寄せようとしましたが、入院中という状況でどうしても今すぐ用意できないものがありました。何度か施設に交渉しに行くうちに、現場のスタッフと顔を合わせる機会があり、その際あまり良いとは思えない対応が見えてきました。

家から歩いて面会に通える距離という条件は最高だったのに、だんだん熱が冷めていきました。

場所の条件がよくても、介護サービスの質が良いとは限らない。頭ではわかっていたつもりでしたが、実際に体感すると納得できます。結局その施設の申込は途中で辞退しました。

家から自転車で通える「グループホーム」を2か所

次に見学したのが家から自転車で15分ほどのグループホーム(2階建て18室)。1フロア9名で共同生活をして食事、入浴、排せつ補助などの介護サービスを受けられます。

各個室が横に並ぶフロアの真ん中に広い食堂兼リビングルームがあり、全体に目が届くようにスタッフカウンターが設置されています。見学に行ったときはちょうど昼食後で、みなさんそろってリビングでTVを見ていました。全員認知症の方ですが、少人数での生活のためか介護スタッフとの距離感も近く、アットホームで落ち着いた空間だなと感じました。

この場所から少し離れた、同じ法人が運営するグループホームも見学どうぞと勧められ行ってみました。系列とはいえ建物の向きの違いで、南向きのリビングが明るくより開放的に感じました。残念ながらこちらはその時点では満室でした。

少し遠くにある「介護付き有料老人ホーム」

日を改めて見学に行ったのは介護付有料(2階建て36室)。全居室トイレ付。サ高住との違いは、月額料金が施設スタッフによる介護サービス込みなので、定額でかかる費用がわかりやすいというところでしょうか。

イベントなども多く開催されているようで、介護度も様々な方が在住されているので、みなさんそれぞれ好きなことをして1日を過ごすという感じです。古い建物ながら清潔に保たれているのが好印象でした。

ただ、うちの家からは少し距離があり、自転車だと30分かかります。そこがネックでした。

介護施設の外観の前で見学に来た夫婦が話し合っているイラスト

開業時期が新しい「サービス付き高齢者向け住宅」

最後に見学したのは比較的新しいサ高住(鉄筋コンクリート造7階建て43室)。全居室バス・トイレ付。

ここもサ高住なので、部屋の賃貸契約とサービスの契約は別。基本サービスは、状況把握のための各部屋訪問が1日に5回。それ以外の介護サービスについては別途契約するシステム。

ここは部屋だけでなくベランダも広く開放感もあって、窓から見える景色がいい。エレベーターや食堂など共用部分の設備も新しく、トレーニング設備まである。街中にあるので出かける時にも便利。

うちの家からも自転車で10分と好立地。夫はいたく気に入った様子でした。

最終的にどうやって決めたのか

義母の退院までのタイムリミットが迫る中、早く入所する施設を決めないといけません。

同行してくれた知人は、前もって義母が入院する病院のソーシャルワーカーに電話をかけ、現在の状態を確認してくれていました。義母は、骨折の手術後いまだ車いすを使用していること。病院ではおむつを使用していること。認知症による「短期記憶障害」が顕著なこと。

すべての施設の見学を終えた日、私たち夫婦と知人とで話し合いました。

夫「最後に見学した7階建てのサ高住が気に入りました。あそこに決めたいと思います。」

知人「私には、あそこはあまりよく思えませんでしたよ。」

夫「えっ!なんでですか?」

知人曰く、見学中に現場スタッフを観察していて、気が利かないなあと何度も感じたそうです。


知人「私は、現在のお義母さまにはグループホームが合っているように思います。」

夫「うーん、でもなあ。」

知人「先日のグループホーム、何か気に入りませんでしたか?」

夫「建物が古かったし、壁紙も一部剥がれてたでしょ。あれが気になるなあ。」

知人「なるほど、よくわかります。自分の母親には少しでもきれいな場所に住んでもらいたいですよね。でも、それって施設選びの本質ではないんです。

夫婦と老人ホーム紹介業の知人が3人でテーブルを囲んで話し合っているイラスト

知人はこう続けました。「どこの施設でも、夜間は少ない人数のスタッフで全部屋をカバーすることになります。部屋の中でふいに倒れても、本人が自分で緊急コールを鳴らさない限り、朝の巡回まで誰も気づかないことだってあります。対してグループホームは、9人ワンフロアの共同生活です。夜中にガタっと音がしたら、スタッフが気づく可能性はずっと高いのです。」

今後さらに認知症が進むことを考えると、近くで見守ってもらえるグループホームがベストだと思う——と。今回の見学で空き室のあったグループホームは1カ所だけ。現時点ではあそこがいいと思うと。

夫の表情が変わりました。「そのとおりですね。」

結果、グループホームで義母を看ていただくことに決めました。

後日、夫は「自分たちだけで決めなくてよかった。わかっていたはずなのに介護の視点では見れてなかった。あそこで冷静に説明してくれて本当に助かった。」と知人に感謝していました。

決まってからが、また大変だった

施設を決めてからのミッションがこれまた大変でした。

  • 現在の埼玉県から大阪へ住民票を異動させる。(グループホームは、住民票を施設の住所に移さないと入所できません。)
  • 介護保険証、介護認定の引継ぎ、マイナンバーの住所変更、障碍者手帳の住所変更など。
  • グループホームとの契約。
  • 義母とのオンライン面談を病院側と協議。
  • 病院を退院後、埼玉から大阪まで義母を移動。
  • 車いすのレンタル、介護タクシーの手配、新幹線のチケット手配、各駅での乗降介助。

この顛末については、別の記事に書く予定です。

今回の経験から、学んだこと

まだ先のことと考えていた終活の「老人ホームの下調べ」が義母の施設探しとして突如本番となりました。

今回の経験から学んだのは、施設の種類や特徴を知ること信頼できる紹介業者を探すこと余裕をもって探しておくこと、この3つが大切だということです。

今回は義母のためのホーム探しでしたが、次は自分たちの番。人生の最後はどこでどう過ごすのか、どこで看取ってもらうのか、ちゃんと考えて準備しておかないとダメだなあと感じました。

終活の一環として、いちど近隣の施設の種類や費用感だけでも調べておくことをおすすめします。

介護施設のパンフレットを手にメモしている女性のイラスト

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